児童は、言える自信がなければなかなか発話しようとはしません。英語で答えを言えるようになるまで、ただ黙って座ったまま英語を聞くだけの退屈な活動だけに留まるよりは、初期段階から「聞く、理解する、行動で示す」ことができるTPRを活用することは効果的だと言えるでしょう。さらに、行動の内容を変えていくことで、体を動かすだけの単純な活動から、知的な活動へと広げていくこともできます。例えば「飛ぶ、跳ねる、歩く」、「色を塗る、線を書く、文字を書く、カードの順番を並べ替える」、「指示に従って何かを完成させる」といった発展が可能になるわけです。ただ気をつけなければいけないのは、たとえ体を動かして楽しい雰囲気になったとしても、英語の発話とそれに伴う行動・動作に何の関連もない活動が行われているとしたら、TPRは成り立たないということです。歌を歌っていても、その意味と身ぶりが何らかの関連がなければ、TPRとしての効果は期待できません。指導の基本として押さえておきたいのは、活動はすべて意図的に組み立てるべきだということです。発話を音声情報として聞いて、その内容を理解し、指示に応じた行動が次に起こるというのが通常の順序です。この順番が壊れた場合でも、どこかで「聞く」ことが行われなければ、言語が介在していないことになり、意味がありません。つまり、聞く必要のない(英語の)発話を与えても意味がないのです。