二つボタンか三つボタンか

2011.07.02

スーツはもちろんとして、替上着(スポーツ・ジャケット)やブレザーに至るまで、たいていの上着は二つボタンか三つボタンです。ここではシングル前の上着に限って話をすすめるとしましょう。そもそも今のような上着の原型が完成するのは、十九世紀後半のことです。そして直接のデザインとしては、軍服から市民服へと変化したものと考えられています。その軍服とは五つボタンの立襟型で、この立襟を外側に折り返したとき、現在の背広襟(カラーとラペル)が生まれたのです。そういうわけで十九世紀末の、初期の上着は四つボタンということが少なくありませんでした。これがいわば近代化されて二十世紀のはじめは三つボタンが主流となっていくのです。そしてさらに三つボタンを進歩させて、二つボタンが流行となるのは一九三〇年代のことです。つまりごく簡単に言えば、三つボタンはクラシック派であり、二つボタンはモダン派ということになります。ダンディズムの立場からすれば、なにごとによらず省略を嫌うところがあります。場合によっては襟裏に小さなボタンを付けることがあるのは、昔、第一ボタンを留めた名残りを大切にしたい、というわけです。これは極端ですが、ヨーロッパの一流店で仕立てると、たいてい三つボタンをすすめられるのは、以上のような理由からなのです。もし二者択一ということなら、三つボタンに軍配をあげざるを得ません。応用範囲が広いし、結局は長く着られるからです。もしも、二つボタン上着を買うか、三つボタンにするか迷ったなら、後者がおすすめです。

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