どこへ向かうかわからないバス

2012.01.14

彼らはメモに何回も『不要銭』と書いた。自分たちは金はいらないということを強調したいようだった。中国人のことだから眉に唾をつけなければいけないことはわかっている。だいたい二百三十元という値段でぼっているのかもしれなかった。しかしここまできたら、この船に乗るしかなかった。瀋陽駅前の広場を思い出した。後からついてきたおばさんは、僕らから金をとらず、バス会社からマージンをせしめていた。おそらくそのシステムだろう……勝手にそう想像するしかなかった。

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しかしわからないことはまだいくつもあった。だいたい僕らが乗る服務区とはどこなのか。そこまで車で行くというのはどういう意味なのだろうか。日も暮れはじめた夕方の六時、再びバスターミナルに出向くと、すでに小型のトラックが用意されていた。前に四人が座ることができ、その後ろに荷台のある車だった。いったいどこに連れていかれるのかもわからなかった。客引きのひとりが助手席に座った。トラックは石家荘のなかを延々と走り、高速道路に入った。しかし標識を見ると北京に向かう路線である。僕らは南に向かうはずだ。不安が膨らみはじめる。筆談はうまく伝わっていなかったのだろうか。