炭素アーク灯のまばゆいほどの光

2011.06.09

炭素アーク灯のまばゆいほどの光については、1855年の新聞『ガゼットードーフラッス』誌につぎのような記事が出ていたと、ヴォルフガングーシヅエルブシユが伝えている。「昨夜9時ごろ、シャトー・ボージユーの近くを散歩していた人々は、突然太陽のような明るい光の洪水に襲われた。実際、太陽が昇ったかとも思えるほどで、錯覚して眠りから覚めた鳥たちは、この太陽光を浴びて嗚きだす始末だった。広大な領域にあふれた光は強烈だったので、ご婦人方は傘をさしたほどである」現在では炭素アーク灯はまったく使われていないが、建築現場や鉄工所などで鉄を溶接するときの電気溶接火花を見れば、炭素アーク灯の強烈な光を実感できるだろう。炭素アーク灯の高温は、燃料を燃やしてつくるのではなく、放電によるものなので、炭素粒は炎の場合よりも高い温度に置かれることが可能になる。炭素粒の大半は空気中の酸素と反応して二酸化炭素になってしまうが、一部の炭素粒は炭素が昇華する約3500℃まで加熱され、その温度に応じた熱放射の青白い光を出すわけだ。じつはそれだけではなく、「ルミネセンス(luminescence)という現象も起きている。